多くの税理士や会計士が独立開業について日々悩んでいることでしょう。
私自身も例外ではなくその一人といえます(もう勤務先には独立開業する旨を伝えましたが、未だに不安が拭えません)。
そんなこともあり、今はブログのアウトプット頻度が減ってしまっていますが、その分、インプットとブレインストーミングの時間を多く取っている状態です。
今回は、コロナ禍において考える「税理士独立のタイミング」について書いてみます。
具体的には、独立開業してから50年になる老舗会計事務所の代表税理士先生からお話を伺ったので、その内容をお伝えしていきます。
ネットには出てこない大ベテランの声
私がお会いした税理士先生は、30代前半で独立開業し、今では創業50年となる会計事務所を経営しています。
独立開業の動機は、勤務先の会計事務所の収入が低く、将来性が見通せなかったことだそうです(よくありそうですね)。
今はブログやSNSで多くの税理士や会計士といった専門家の意見に目を触れる機会があります。が、その多くは若手のSNS全盛期に生きる専門家です。
良くも悪くも、70代、80代と引退を目前に控えた大ベテランの先生の想いがネット上に出てくることは少ないでしょう。
そんなこともあって、参考になる部分もあるだろうと記事を書くことにしました(個人情報が特定される情報は伏せておきます)。
泥臭い飛び込み営業時代
30代前半で独立開業したその税理士先生は、親が税理士だったわけでもなく、独立当時は見込み客ゼロからの開業となったようです。
まずは自宅を事務所として開業し、自宅周辺の個人商店から手当たりしだいに広告を出し、営業したといいます。
今も昔もツールは違えど、似たような開業スタイルです。
当時は、インターネットも整備されていない以上、今よりも足で稼ぐ時代ということでしょう。今ではネット営業も主流になり、足を使った営業は少し非効率な部分もあるかもしれません。
現代のような無機質な時代にこそ、改めて直接営業をして対面で話してみる勇気や飛び込み営業のガッツを認めてくれる経営者もいるのかもしれませんね。
時代は変わったというものの、昔の良い部分は取り入れ、不要な部分は取り入れない。そんな姿勢が大切だなぁと思います。
例えば、個人的には、手書きのお手紙はやっぱり好きです。
圧倒的なgiveの多さ
その税理士先生を訪れ、話を聞く最中、事あるごとに「これをあなたにあげます」と言ってくださいました。
はじめてお会いしたキャリア40年は先輩の大先生が、初対面から1時間足らずで見ず知らずの若手税理士に対して圧倒的にgiveしてくれるのです。
やはり余裕が余裕を生み、その余裕が器の広さ、商売の広がりにもつながっているんだなと感じます。
私がもらったものは、
- 先生の執筆中の本(自伝でありキャリアについても書かれている)
- 先生自身が読んだ10冊以上の各専門分野の本の中からエッセンスとなるノウハウを凝縮したノート(Word作成)
- 今後考えているビジネス構造の骨子を書いたマインドマップ
などです。
普通に考えれば有料級の情報でしょう。
中には古い情報もあるのかもしれませんが、それよりも感動したのはその思いやりです。
80歳を超えても挑戦し続ける姿勢
さきほども少し触れましたが、この税理士先生は80歳を超え、引退を間近に控えてもなお、やりたい将来ビジネスを構造しています。
この姿勢には感服です。
まだまだやりたい事はあるけど、もう若い頃のように無理できる年齢じゃないからねぇと悲しい目で言われていたのが印象的でした。士業には定年はないけれど、適齢期というのはあるのかもしれませんね。
開業するなら今だよ
時代はコロナ禍で景気が落ち込んできています。さらに不確実性の高い時代がやってきました。
そんな中、特に飲食店をはじめ、営業自粛を余儀なくされるお店もたくさん出てきています。新人の採用をストップする企業まで出てきています。
そんな環境下の中で、その税理士先生は私にこう言いました。
独立(開業)するなら今だよ。
その先生が言うには、今が底なんだからこれからは回復することを考えたらいい。景気の良い時に独立しちゃったら最初は良いかもしれないけど後で苦労する。底を知っていた方が後で楽じゃない?というニュアンスでした。
もちろん賛否両論ありますが、なるほどなぁと思った1日でした。
正直、大先生に話を聞かせてくれと頼むのも非常に手が震えましたが、結果的に学びの多い1日になりました。