会計

なぜ会計を学ぶ必要があるのだろう?【意義・理由・メリットを徹底解説】

なぜ会計を学ぶのか

この記事を読んでくれているのは学生の方かもしれません。学生の方は、まだ会計の必要性についてあまり意識したことがない人が多いかもしれません。

僕は普段、会計や税金、経営に携わる仕事をしていますが、学生の頃は、会計を意識したことなんて全くなかったのです。でも、今だからこそ、「会計を学ぶことは非常に大切で、意味のあることだ」と自信を持って言えます。

普段はあまり聞き慣れない「会計」を今日は少し考えてみませんか?

会計の理解は、将来あなたが社長になっても、サラリーマンになっても、好きなお店で働くことになっても必ず役に立つ知識となり、武器となります。

それでは、前置きが少し長くなってしまいましたが、はじめましょう。

会計ってなんだ?

さっそくですが、「会計(かいけい)」って何だと思いますか?

スーパーやショッピングセンターで物を買ったり、外食をすると、レジで「会計」をしますよね。それも会計です。

会計とは、「貨幣(お金)を利用して物事を記録、計算、管理を行うこと」をいいます。

では、なぜ、お金が発生した物事を記録したり、計算したり、管理をする必要があるのでしょうか?

仕事をしたことがない学生でも、なんとなく分かる部分があるでしょう(例えば、お金を管理しないと必要なときにお金がなくて困りそうですね)。

会計を使った計算記録のことを「帳簿(ちょうぼ)」と呼びますが、帳簿はものごとを自分以外の第三者に説明・報告するために作成されています。

例えば、テレビでも「●●株式会社が上場!」とか「●●株式会社が業績悪化」といったニュースが流れていますが、すべての商売(ビジネス)は帳簿をつけているからこそ実績を報告することができます。

会社は社長のお金だけで動いているわけではありません。時には、投資家(株主)がお金を出資したり、銀行からお金を借りたり、地主さんの不動産を借りたりして商売を継続しているのです。

自分以外の人がお金を出すということは、会計という共通言語を使って、一定のルールに従って、お金を出してくれた人達にわかるように経営内容を説明する必要があります(このような制度を専門用語では、「情報開示制度(ディスクロージャー制度)」と呼んだりします)。

上場会社では、情報開示が義務づけられているんだよ。

お金をたくさん持っている人は、自分が出資したり貸してあげた会社の業績が良くなれば、配当という形でお金をもらえるチャンスが増えます(これを「インカムゲイン」といいます)。さらに、出資した証明として手に入れた株式に価値が出れば売却することで大きな利益を得ることも可能です(これを「キャピタルゲイン」といいます)。

インカムゲイン キャピタルゲイン

経営者の想いは「アイデアはあるけど、お金が足りないから出資してもらって経営がしたい」、一方で、投資家達の想いは「お金はあるから面倒な経営は誰かに任せて、利益をもらえる権利を手にしたい」と相反していることが多いです(もちろん、全てではありませんが)。

ニュースなどで良く目にする「株式会社」はまさに会社法という法律の下で、所有者(株主)と経営の執行者(経営者)を分断して作られた組織になっています(これを「所有と経営の分離」といいます)。

まさに経営者と投資家のお互いにとって、思惑が実現できるWin-Winな関係になっているのが株式会社の特徴です。

このような素晴らしい仕組みもルールが曖昧だと絵に描いた餅になってしまいます。

そこで、会計という統一のルールを使ってお金の出入りを帳簿につけて、誰が作っても同じルールに基づいて作られた決算書が会社ごとに誰でも比較ができるようにしているのです(これを「比較可能性の確保」といいます)。

もし、帳簿をつけないと、「あれ?今月お金が思ったよりないな」といった頼りない会社になってしまいますから、誰の信頼も得ることができないでしょう。当然お金を集めることも難しくなります。

会社が成長して大きくなってくると、大きなお金を動かしてビジネスをしたいと考える経営者も出てきます。

そんな時には、銀行から借金をする経営者もたくさんいます。

商売のために借金をするには、銀行に帳簿(決算書類)を提出し、会社の財政状態(*1)や経営成績(*2)を開示する必要があります。ここでも会計の知識が必要になるのです。

(*1) 財政状態とは、会社のお金や資産がいくら残っているか?借金はいくらあるのか?など、会社の健康状態を表します。財政状態を表す決算資料を「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」といいます。

(*2) 経営成績とは、いくら売上があって、いくらの利益が残ったか?を毎年計算する損益成績のことです。経営成績を表す決算資料を「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」といいます。

この決算書類が正しいかどうかをチェックする仕事もあって、その仕事は「公認会計士(こうにんかいけいし)」が行っています。

公認会計士という職業は聞き慣れないかもしれませんが、会計に関する最高峰(最難関)の資格と言われている国家資格です。

医者や弁護士と並んで三大国家資格と呼ばれる難関試験に合格した公認会計士だけに許されたこのチェック業務を「会計監査(かいけいかんさ)」と言います。

なぜ会計を学ぶ必要があるのだろう?

話が経営に偏ってしまったので、「会計は経営をしたい人だけが知っておけば良い話だ」と思った人もいるかもしれません。でも実際は経営者でなくても会計を学ぶ必要があるのです。

学校生活では、会計と聞けば、物を買うときにお金を精算するイメージが強いと思います。

「お金の計算をすること=会計」と考えている人が多いですが、実はもっと奥の深いものなのです。

お金の計算=会計であれば、小学校で算数さえしっかり勉強しておけば何も社会で困ることはなさそうですよね。でも実際は、多くの人が会計の基礎を身につけていないことでお金に困っています。

会計について、具体例を考えてみましょう。

あなたがスーパーのレジで商品を買ったら、レジの店員さんがバーコードを読み込んで「値段」がレジ画面に表示されますよね。その値段はどうやって決まっているか(値決めの方法)を知っていますか?

このスーパーの「値決め」にも、会計が使われているのです。

値決めの際には、製造メーカーから、いくらで商品を仕入れることができるのか?(仕入原価)、いくらで売れば利益がでるのか?を綿密に計算しなければなりません。

商品を作っている製造メーカーも商売で食べていかないといけませんから、商品(製品)を作るのにいくらの費用がかかるのか?いくらでスーパーに売れば利益が残るのか?を計算しています。

あなたが将来、サラリーマンとして製造メーカーに就職して営業職についた場合でも、「いくらで売れば利益が出るのか?」をしっかりと理解しないといけませんから会計の知識が必要になります。

また、会社には「経理(けいり)」という決算を作る部署が必ず存在します。この経理業務をするためにも、最低限の会計知識が必要になります。

つまり、経営者にならなくても、仕事をする上では会計は必須の基礎知識となるのです(特に、責任が重い立場になるほどその傾向が強くなります)。

製造メーカーの話をしたので、それに交えて、もう少し深く会計を紹介します。

製造メーカーは、商品(例えば、ポテトチップス)を作るのにいくらかかったかを計算しています(これを「原価計算(げんかけいさん)」といいます)。さらに、どのぐらいの量のポテトチップスを売り上げないと赤字になってしまうかも計算しています(これを「損益分岐点分析(CVP分析)」といいます)。

原価計算 図解

原価計算(げんかけいさん)とは?

原価計算とは、その売っている商品(製品)をつくるのにいくらかかるか?を計算することをいいます。原価とは、つくるのにかかるお金です。例えば、スーパーに売っているポテトチップスも、作っている製造メーカーが材料代(材料費といいます)や、工場で働く人のお金(人件費といいます)を計算した上で、スーパーに販売する値段を決めることになります。この際、製造メーカーも商売を続けていかないといけませんから、しっかりと利益が残るように原価計算を行っています。ここに会計が使われています。(ここでいう物づくりの会計を「管理会計」と言います)。

損益分岐点分析(CVP分析)とは?

損益分岐点分析(そんえきぶんきてんぶんせき)とは、CVP分析(しーぶいぴーぶんせき)とも言われます。会計の専門用語の1つで、噛み砕いて説明すると「いくら売らないと赤字になるか?」のラインを分析する手法です。CVP分析は、「Cost(費用)-Volume(販売量)-Profit(利益) Analysis(分析)」を省略した表現です。

会社を経営したり、商売を続けていくにあたっては、赤字ライン(利益がちょうどゼロになる売上)を知っておくことで、経営している会社が潰れないように事前に分析をすることができます。この分析も別の回に詳しく説明する機会を設けようと思います(実は、この分析方法も知らずに経営している人も多いのです。会計を学ばないリスクはこんなところにもあります)。

こんなところにも「会計」が使われている

実は「会計」は、非常にたくさんのところで、ごく自然に利用されています。

国も予算を決めるために会計を使って計算していますし、自宅でお母さんがつけている家計簿も会計の仕組みを利用しています。

中学校の部活動でも部費を集めて保護者が会計をしてお金のやりくりをしていますし、飲食店でもお店の営業時間が終わったあとに会計をして売上金や残金の計算をしています。

小学校では、まずは読み書きと算数から習い始めますが、これは生活をしていく上で必要不可欠と考えられているからに他なりません。

会計も同様に、義務教育のうちからしっかりと学んでおくことで、将来必ず役に立つ学問なのです。

なぜ会計は学生には身近に感じられないのか?

ここまでの内容で、会計はなんとなく必要だということが理解できたと思います。

では、現在の学校教育(小中学校の義務教育)では、なぜ会計の基礎をしっかりと教える文化がないのでしょうか?(国語、算数、理科、社会、英語のように「会計」という科目がありません)。

大人になれば、会計が勝手にわかるようになるか?といえばそうでもないのです。

学生の方は、一度お父さんとお母さんにこんな質問をしてみてください。

「会計って必要なの?なんで必要なの?会計ってどうやって使うの?」と。

おそらく、(失礼ながら)多くのお父さんとお母さんはこの質問に回答できません。

なぜなら、学校で学んでいない(教えてもらっていない)からです。

よく「日本の学校教育では、お金の教育が無いからマネーリテラシー(お金の教養)が無い」と言われます。会計も同様に、学校で教育されていなので、自主的に勉強した大人以外は知らないのです。

お父さんやお母さんも学んでおらず、学校の先生ですら、子どもの頃に学んでいない会計だからこそ、学生にも会計は身近に感じられません。

でも会計には知っておかないと損をする話がたくさんあるのです。

かの有名な「福沢諭吉」大先生も会計は大切な学問だと言う

福澤諭吉(ふくざわゆきち)を知っていますか?一万円紙幣に印刷されている有名人物ですよね。

この福澤諭吉の名著『学問のすすめ』には、会計の大切さが書かれている部分があります。

ここでは、その一節を紹介します。

私が学ぶべきだとする学問は、ふつうの生活に役に立つ学問だ。たとえば、手紙の書き方や、帳簿のつけ方計算や、・・・・(中略)家計から世の中全体のお金の流れ、人とのかかわりかた・・・・・(中略)学ぶべきことはとても多い。

こうした学問は、人間が生きていくうえで必要で、役に立つ。身分の上下に関係なく、みなが身に着けるべきなのだ。そうでなければ、個人も、家も、国家も、独立することはできないだろう。」

(『新装版 教科書にでてくるおはなし366』から抜粋)

言い換えると、読み書き(手紙の書き方)、会計と算数(帳簿のつけ方、計算、お金の流れ)が大切だということです。それらの学問は、ふつうの生活に役に立つと言い切っています。どれだけ大切な基盤として紹介されているかが分かる一節です。

今回紹介している『学問のすすめ』は、時代に左右されない本質を説いた書物です。

マンガで解説されているものも売っています。

読んだことがない方は、ぜひ一度読んでみてください。

会計は義務教育になる?!

会計は現実に義務教育に盛り込まれる流れになってきています。

実は、2021年の「中学校学習指導要領解説」の中で、社会(公民)の解説に会計情報の活用が盛り込まれたのです。

「CPA政連ニュース」2018年6月15日 第434号 に会計基礎教育を学校の義務教育に取り入れていく方針が発表されています。

中学校の授業に会計が導入されれば、より会計の必要性が感じられることでしょう(もし、テストに出たら点数を稼がないといけませんしね)。

中学校で会計を学ぶことが実現すれば、自ずと高校でも会計を学ぶことになるでしょう。

会計は複雑な専門知識だと思われがちですが、誰もが知っておくことで役に立つ情報がたくさんあります。

実は、国も重要だと言っているのが「会計リテラシー」

学校でお金の知識を教えていないのと同様に、会計についても教えていませんよね。

そうすると、「マネーリテラシー(お金の教養)」と同様に「会計リテラシー(会計の教養)」も勝手に身に付くハズがありません。

社会はどんどん複雑になってきています。昔は固定電話しかなかった時代だったのが、携帯電話が登場し、今では当たり前にスマートフォンを持つ時代です。

そんな複雑な現代社会を生き抜くためには「お金の流れ」を体系的に理解した実践的知識である「会計リテラシー」が必要です。

公認会計士が加入している日本公認会計士協会では、政治家と協力して「会計リテラシーマップ」の作成に取り組んでいるなど、国をあげた会計教育が一部で産声を上げはじめています。

日本公認会計士協会が会計リテラシー・マップの作成に取り組んでいます。

会計を知らない大人はたくさんいる

義務教育で学んでいないことから、会計を知らない大人はたくさんいます。

これからの情報社会では、さらに複雑な社会になり、貧富の差も大きく広がってくることが想定されます(貧富の差というと大げさに聞こえますが、大きくお金を稼げる人と全然お金の稼げない人に分断される可能性は十分にあります)。

現実に小中学生のユーチューバーが社会人より圧倒的に稼いでいる、なんてことが起き始めています。

世界で一番稼いでいるユーチューバーはなんと8歳の少年で、1年間に約24億円も稼いでいるそうです(2019年度米誌フォーブス発表による)。

お金が大きく動く時、会計リテラシーを持っていないと、大きく稼いだお金が大きく無くなってしまうリスクが高くなります。理由は明確で、お金・会計・税金といったマネーに関連する知識が不足しているからです。

会計を学んでおくことは「転ばぬ先の杖」を手に入れることにつながることを知っておいていただきたいと思います。このブログでも会計リテラシーの向上に役立てるよう、随時情報発信をしていきます。

会計を知らずにつぶれてしまった会社はたくさんある

会計を知らないことで潰れてしまった会社がたくさんあることを知っていますか?

例えば、ある人は「会社は利益が出ていれば潰れない」と思っています。

しかし、現実には、利益が出ていても倒産することがあるのです。普通の感覚だと耳を疑うでしょう。

稼いで利益が出ているのに潰れるの?なんで?と思うのが普通の感覚です。

利益が出ているのに潰れる(倒産)することを「黒字倒産(くろじとうさん)」といいます。

会計リテラシーのある人は、利益だけでなく、キャッシュ・フロー(実際のお金の流れ、資金繰り)にもしっかりと目を光らせています。

税金の知識が豊富な人は、利益は赤字でいいからキャッシュフローをしっかり出せるようにして欲しいと言うぐらいです。なぜなら利益が出ていると税金が多く課されるからです。利益が出ていない状態(赤字)でも、お金を回す方法に長けている経営者はたくさんいます。

なぜでしょうか?

それは、会計リテラシーがあるからです。

会計リテラシーがついてくると、「●●株式会社が△△億円の赤字!」というニュース1つをとっても捉え方が変わることでしょう。意図的に赤字を出したのか、本当に業績が悪い(商品が売れない)のか、メディアの情報に惑わされずに把握することができるようになります。

その気になれば中学生でも学べるお金の知識が「会計」

会計は日常生活に目を向けると実にいろんなところで利用されていることに気がつくと思います。

お金を扱う商売をしている人の多くは、社会人になってから会計を学びます。

本屋さんに足を運んでみてください。社会人向けの会計の本がたくさん置かれていることでしょう。会計の本の多くは「会計の基本」を教えるものです。

つまり、中学生であっても読み進めることのできるレベルのものも多いです。

それだけ、会計はまだ小難しいイメージを持たれている証拠でしょう。

本を持ち歩くのが嫌なら電子書籍(例えばKindle)でも読むことができます。

電子書籍すらも嫌なら、音声で学習することも可能です(AmazonのAudibleや、YouTubeなど)。

これを機会に会計を学んで将来の可能性を広げていきましょう。

学ぶ側も勉強、教える側も勉強

勉強は学ぶ側(インプット側)だけでなく、教える側(アウトプット側)も非常に勉強になります。

学校で例えると、学ぶ側は生徒、教える側は先生です。

教える側の立場に立ってみるとわかりますが、曖昧な知識だと人に教えることはできません。自分で話しながら、頭の中で「?」がでてきてしまうのです。

会計も全く同じです。

もし会計を学んでインプットをしたなら、友達に話してみたり、先生に質問をしてみたり、日記やブログに書いてみたり、何らかの方法でアウトプットまで行うことをオススメします。

その方が知識の定着が断然早くなります。

最後まで読んでくれたあなたは、会計について少しでも興味を持てる人だと思います。

ぜひ、会計を思いっきり調べてみてください。

学生の今だからこそ、会計とじっくり向き合ってみてください。

必ずその経験が将来の仕事やお金の運用に役立つ日がきます。

では、また。

ABOUT ME
伊藤 央真
公認会計士・税理士 1990年生まれの淡路島出身。 税金の得意分野は、相続税。 野球好きで週末に草野球しています!