公認会計士

監査法人とは?公認会計士がわかりやすく解説してみる

監査法人とは

みなさんは「監査法人」聞かれたことありますか?

僕自身も監査法人での勤務経験がありますが、業界と関係性のない人からは「え?なにそれ」と言われることもしばしば。監査法人とは、簡単に言えば「公認会計士が集まる組織(会社)」なのですが、この点について少し解説したいと思います。

監査法人とは?

監査法人とは、監査を目的に設立された法人のことです。公認会計士の独占業務に「会計監査」がありますが、大企業の会計監査を一人で行うことは、知識面でも時間面でも不可能です。

そこで、公認会計士が集まり、法人化して企業の監査に従事するために設立された組織が監査法人です。

監査法人を設立するには、最低5名の公認会計士が必要です。

上場会社には会計監査が義務づけられていますので、上場会社の経営者・監査役・経理部などの方は(ほぼ)100%監査法人の存在を知っているような、一部では身近な存在でもあります。

監査法人の業務は?

監査法人は、実は監査だけでなく様々な業務を行っていますが、名前のとおり一番ポピュラーな仕事は「会計監査」です。

会計監査とは、ざっくり言うと企業の決算書の監査をして、お墨付きを与える仕事です。

ただ単純に決算数字だけ見てるわけではありません。ここが一番イメージしづらい部分でしょう。

決算の数字が合っているかどうかを見るためには、その数字の背景を追う必要があります。いくら会計の知識があったとしても机上の数字を眺めているだけでは、その決算書が合っているかどうかはわかりません。

そのため、決算数値の背景を知るために、社長をはじめ、企業の様々な部署の責任者や担当者からヒアリングを行ったり、規定を見たり、議事録を見たり、業務フローを教えてもらったり、、と様々な角度から数字の根拠を探っていきます。

時には煙たい顔をされるのも監査あるあるです(なぜそこまで説明が必要なの?という顔をされがちです)

さらに、今後の業績見込などについても、各部署や社長にも直接お話を伺って適正かどうかを判断していきます。

有名な監査法人は?

現在、日本ではbig4と呼ばれる4大監査法人が最も規模の大きい監査法人です。

その4つは以下の通りです。

  • 有限責任あずさ監査法人(KPMGグループ)
  • 有限責任監査法人トーマツ(DTTグループ)
  • EY新日本有限責任監査法人(EYグループ)
  • PwCあらた有限責任監査法人(PwCグループ)

いずれも世界的の4大会計事務所(big4)のグループに属しています。

実は、4大会計事務所は、世界的にはとても人気企業で、毎年発表される世界の就職人気企業ランキング(ビジネス部門)に常に上位ランクインしています。

就職 企業 ランキング

(下記サイトより抜粋。2019年)

World’s Most Attractive Employers 2019

有名なGoogle(グーグル)やApple(アップル)など、誰もが知る有名企業が名を連ねていますが、そんな中に会計事務所のbig4はすべて名を連ねています(2019年度)。

具体的には、

2位:EY、3位:PwC、4位:Deloitte、6位:KPMG

といった具合です。

世界中に必要な仕事があり、比較的安定業種と言われています。さらに給与水準が高いことなどが影響しているのかもしれませんね。

日本の監査法人の規模だけで言えば、あずさ、トーマツ、新日本が三大監査法人、あらたは三大に継ぐ規模(準大手)といったところです。

日本だけでなく世界に目を向けるのであれば、公認会計士になると、これらのbig4へ入るハードルが少し下がるのはメリットかもしれません。

監査法人の仕事内容は?

監査法人での主な仕事は「会計監査」だとお伝えしました。その他にも近年ではコンサルティング業務に力を入れている傾向があります。まずは監査法人の最も基盤となる仕事である「会計監査」について説明したいと思います。

僕自身も公認会計士ですので一人でも多くの人に仕事を知ってもらいたいと思っています。ですので、少しでも魅力を感じてもらえるように極力噛み砕いて説明しようと思います。

監査は何のためにやっているか?(監査の目的)を説明すると、一言で表すと投資家をはじめとする財務諸表利用者(ステークホルダー)のためです。

株式投資をしたことがある方ならイメージがつくかと思いますが、特別な事情がない限り、持っている株式は証券会社の口座を開設して、どこかの株式市場に上場している株を買っていると思います。

その皆さんが持ってる株式を発行してる上場会社は、「すべて」監査法人(公認会計士の組織)が監査しています。

株式をお持ちの方は、対象会社の「有価証券報告書」をGoogle検索で調べてみて、一番後ろのページを見てみてください。そこには、監査法人が発行した「監査報告書(AR)」が載っています。

有価証券報告書とは、会社の決算報告書のことで上場会社であれば会社ホームページでも一般的に公開しています。また、調べたい場合には、「EDINET」という検索システムで誰でも開示書類を調べることができます。

上場会社は必ず公認会計士の監査を受けないといけないと法律で決まっているのです。そのため、監査法人は、法人化した公認会計士の集まりと考えるのが一番イメージがつきやすいです。

投資家の方が株式投資を行うときには、その会社の業績が良いかどうか、将来性があるかどうか、などを判断材料とします。その際に、様々な業績評価指標をチェックすることがあります。

例えば、売上高、利益、PERなどを参考にする投資家もいると思いますが、その公表数字が正しいとの前提で投資を行っています。この指標の元となる決算書がめちゃくちゃであれば投資判断(特に企業間の比較)を行うことができません。この決算数字を信じて安心して投資をしても大丈夫だとお墨付きを与えるのが監査であり、監査法人の役目となります。市場の番人と言われる所以もここにあります。

そのため監査が失敗すると、非常に強いお叱りを受けるのです。近年では、東芝の不正事件があって、なぜ監査法人は見抜けなかったのか?って言われていますよね。

そんな監査法人ですが、少数の事務職の方を除き、働いているのメンバーのほとんどが公認会計士資格に合格した人です。

最近では合格年齢も若くなってきているみたいで、大学時代に合格し、新卒入社という人も珍しくありません。

監査法人の給料は?

大手監査法人に入った初任給はだいたいですが、額面で月に30万円前後です。

このときの役職はスタッフといいます。

年収で言うとだいたい入社1年目で500〜600万程度です(残業込みで)。

数年経つと、シニアスタッフ(現場主任という意味で、インチャージと呼ぶ法人もあります)に昇格します。シニアスタッフの給料はだいたい月に40〜50万ぐらいで、年収700万円〜です。

その後、マネジャー、パートナーと昇格すれば年収1,000万円を超えてきます。

年齢よりも経験値が重視される業界ですので、若くして平均年収を大きく上回る給与を稼ぐことが可能な仕事です。

当然プロフェッショナル業務ですので、簡単な仕事ではなく責任が求められますが、非常にやりがいがある仕事だと感じています。

大手であれば概ねどの監査法人でもこの程度の給与水準だと思います。

監査法人の職位(キャリアプラン)は?

監査法人は一般的な民間企業と異なり、係長や課長、部長といった呼び方はしないのが一般的です。具体的には、(ジュニア)スタッフ → シニアスタッフ → (シニア)マネジャー → (シニア)パートナーと昇格していきます。

ジュニアスタッフ/スタッフ

一般的に監査法人に入社すると、スタッフという職位からスタートします。

年収は約500万円〜

仕事内容は、上位者の指示に従って必要な監査手続を実施することが求められます。

この職位では、多くの方はマネジメントや計画などの全般的な事ではなく、実際の個別手続業務を行うプレーヤーです。

シニアスタッフ/シニア

スタッフとしてある程度経験を積むと、シニアとして働くことになります。

多くはスタッフを3〜4年程度経験し、修了考査と呼ばれる実務試験に合格し、正式に公認会計士となった時期が昇格の目安です。

シニアは監査法人によっては、インチャージ(現場主任)と呼ばれることもあります。

仕事内容は、監査チームの取りまとめや、監査チームの窓口となりクライアントの相談に乗ったり、管理職である上位者(マネジャー等)と手続全般や年間スケジュールなどを考えます。

また、重要な監査手続についてはシニアやマネジャーが実施することが多く、年間の監査の中で担当会社に一番多くの時間を費やすのがシニアです。

多くの時間を費やす分、担当会社の深い理解が求められ、現場ではチームの中心となって働くことになります。

シニアがスムーズに仕事を回せるかどうかが、年間監査時間の削減や、効果的かつ効率的な監査手続をできるかどうかの鍵を握っていると言っても過言ではありません。

年収は約700万円〜

マネジャー/シニアマネジャー

マネジャーになると管理職となります。

管理職のため、当然ながら残業手当が出なくなります。

マネジャーの仕事は、主に、所属部門全体のスケジュール管理や法人活動の遂行、監査現場では主任業務として、シニアやスタッフの作成した調書のレビュー(添削)をするのが主な役割になります。

また、重要論点が発生した場合には、会社との会計処理相談に乗ったり、会社役員と対峙することが多い立場です。

法人によっては、マネジャーやシニアマネジャーのことを「主任(インチャージ)」と呼ぶ場合があります。

年収は約850万円〜

パートナー/シニアパートナー

パートナーになると、監査法人の「共同経営者」として従事します。

監査法人の経営者として、監査業務だけでなく、法人全体の運営に大きく関与します。

ここぞという時に監査現場に登場するのもパートナーです(一番カッコいいポジションです)。

監査報告書に公認会計士のサインがあるのを見たことのある方もおられるかもしれません(監査報告書は有価証券報告書の末尾についています)。

監査報告書には以下のような記載があります。

独立監査人の監査報告書

有限責任 ◯◯監査法人 

指定有限責任社員 

業務執行社員   公認会計士 △△  △△

ここに名前を記載するのがパートナーです。責任重大ですね。

その分、やりがいを一番感じられるのもパートナーの魅力です。なぜなら、自分の責任で「すべての重要な点において適正に表示している(この財務諸表は重要な誤りがないです)」と表明することになるのですから。

ちなみに、「社員」と書いてありますが、世間一般的には、社員とは従業員を指す言葉と思います。

監査法人では「社員=パートナー」であり、従業員とは区別して呼ばれるところも特徴的です。

年収1,000万円〜

まとめ

職位について図解するとこのようになります。

監査法人 職位

金額は年収の目安です(ボーナスや残業時間によって変動します)。

特にパートナーの役職は、数千万円稼ぐ人もいます。当然ですが、パートナーになる人材は一握りですが。通常の民間企業で役員に就任するようなものですね。全員が社長や役員になれる訳ではありません。

公認会計士試験に合格し、監査法人に入社すると、まずはスタッフから開始します。経験を重ねる毎にピラミッドの頂点であるパートナーとなれる可能性があるのです。

最後に

いかがだったでしょうか?

監査法人は少し特殊な組織ですが、非常に良い経験ができるプロフェッショナルファームでもあります。また、監査法人での経験は、監査法人を退職した後も生きる公認会計士の基礎スキルを得ることができる場所でもあります。

監査法人に少しでも魅力を感じた方は、公認会計士を目指して一緒に業界を盛り上げていきましょう!

ABOUT ME
伊藤 央真
公認会計士・税理士 1990年生まれの淡路島出身。 税金の得意分野は、相続税。 野球好きで週末に草野球しています!