身内の相続は人生で何度も経験するものではありません。
何回も経験したいとも思えませんよね。
実際に相続が発生すると、お葬式から各種手続きまでやることが意外とたくさんあって、気が滅入ってくる人が多いのが現実です。
そんな悲しんでいる中でも、必要な手続きは待ってくれません。
例えば生前に事業をしていた方が亡くなった場合や、
サラリーマンや年金受給者であっても、
場合によっては死亡してから(相続開始から)一定期間内に必要となる税金の手続きが「準確定申告」です。
少しでも事前に知っておくことで、万が一の際には必要以上に焦らずに済みます。
今回は、基本的な知識をつけて転ばぬ先の杖を手にいれておきましょう。
準確定申告とは?
確定申告と聞くと、一般的にはイメージが浸透していますね。
所得税は、毎年1月1日〜12月31日までの所得を計算して管轄の税務署に申告する必要があります。
サラリーマンの方であれば、会社が税金計算をしてくれているので確定申告をするのは還付を受ける場合がほとんどでしょう。
では、準確定申告とは何でしょうか?
確定申告に準ずると書きますが、年の途中で亡くなってしまった場合には、通常の確定申告時期に自分で申告することが出来なくなります。
亡くなってしまえば、当然ですよね。
そこで、亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得税を申告するのが「所得税の準確定申告」です。
この準確定申告の手続きは、基本的に残された遺族である相続人が行います。
多くの方は、相続税申告とともに、専門の税理士に依頼していることでしょう。
「相続が発生すれば、いつもとは違う確定申告が必要」とイメージを持っておくと覚えておきやすいです。
準確定申告の期限は、4ヶ月以内
準確定申告は、相続開始日(ほとんどは死亡日)の翌日から4ヶ月以内に申告しなければなりません。
例えば、5月15日に亡くなった場合には、9月15日までに、1月1日〜5月15日までの所得を計算して、確定申告をする必要があります。
準確定申告が必要となる人とは?
準確定申告が必要な人は、概ねこのようなケースに当てはまる人です。
- 毎年確定申告をしている個人事業主
- 自分で確定申告が必要な高額所得者
- 医療費控除等の還付を受けられる人
還付を受ける場合には、仮に還付申告をしなくても税務署側は何も指摘してきません。
なぜなら、税金を返す必要がなくなるから税務署側(国側)が得をするためです。
損をするのは、制度を知らない納税者(相続人)ということです。
一方で、税金を支払う必要のある人は、申告をしなければ税務署から指摘を受ける可能性があります。
準確定申告は相続税に影響するのか?
準確定申告は、実は相続税にも影響する場合があります。
準確定申告を実施する場合は、ほとんどの方が追加の納付または還付を受けます。
この追加納付部分や、還付部分に関しても、相続税の計算をする際には、相続財産として計上が必要になります。
具体的には、準確定申告で
還付を受ける場合には、相続財産として遺産に加算し、
納付が必要な場合には、債務控除として遺産から控除できます。
まとめると、以下の整理です。
- 準確定申告の納税額・・・債務控除可能
- 準確定申告の還付額・・・財産計上が必要
相続が発生した場合には、相続税だけでなく、所得税も申告が必要になるケースがあります。
心配な方は専門の税理士に相談しましょう。
準確定申告は、実は所得税だけではなく、消費税や事業税でも必要になる場合がありますので、覚えておきましょう。
あとがき
毎年2月〜3月にかけて実施される所得税の確定申告については、比較的馴染みのある税金申告手続きですね。
一方で、死亡した場合には、最後の所得の精算手続きとも言える準確定申告が待ち構えています。
この制度を事前に把握した上で、必要に応じて専門の税理士(相続税に強い税理士)に申告の相談をすることをオススメします。